コラさんのビジュアル見ると「ウッ」ってなる。なぜかというとめっちゃドフラミンゴがはしゃいだ形跡があるからです。コラさんはドンキホーテファミリーに潜入するにあたって、余計なことはしゃべらないししないというのを処世術にした感じがあるので、あの格好のうちめちゃくちゃ目立つファーコートは確実にドフラミンゴチョイスなんだよ。キツくない? きっと「弟生きてた! ワーイ!」くらいの気持ちでウキウキしながらおそろいを仕立てたんだろうなというのが目に浮かぶんだよ。そしてたった四年後くらいに裏切りを知ったうえ「破戒の申し子!」とか罵られるの。めっちゃドッフ涙目じゃないか。かわいそう。自業自得だけど。
また、コラさんが「余計なことはしゃべらない」ために緘黙を通したわけだけども、たぶんこれに対してもドッフ絶対自分に都合のいい解釈してそうだな~!!! というのがものすごくかわいそう。コラさんは父親であるホーミングを殺されたことで少なからずでも確実にドッフを憎んでいると思うけど、ドッフはそんな可能性にかけらも考えが至らないと思う。ドッフが父親を殺すのを止めようとしたのは弟が「やさしい」からで、それ以上の理由はないし、そもそもおれの弟がおれとちがう考えを持つとか思ってもいなさそう。
ドッフがトラウマから見る悪夢は火あぶりと磔刑の場面だけど、きっとコラさんは兄が父親を殺す場面を見てるんじゃないかなあ。でもドッフは弟とおなじ悪夢を見てると信じているんだよ。すくえねえ~~~~。
似た境遇の人間をあつめて家族と称して愛でていたドッフが、ほぼ同じ境遇の弟に拒絶されるのマジ……ってつらみがあるよね。自業自得だけど。
ドッフとコラさんの違ったところって強烈な選民意識があるか否かというところなんだろうなと思う。ドッフの自認はあくまで世界貴族・神・天竜人だから、「人間に迫害された」となって人間を憎むほかないけど、コラさんはたぶん父ホーミングの言っていた「自分たちも人間だ」というのを信じてるんじゃないかな。だから天竜人VS人間みたいな構図を描かずにいられたんじゃないかな……センゴクに拾われたのも大きいと思うけど……とかいうのはなんか書きたいような気がする。
ヴェルゴが言っていた「ドフィは弟ってだけでおまえを疑わなかった」というのはドッフの懐の広さというより幼稚さを示すような気がする。弟が独自にたどっただろう十数年を理解しようともしないで、「自分側の人間のはずだ」「だって血のつながったほんとうの家族なんだから」っていう。迫害されたんだから人間を憎んでいるはずだっていうのもあるだろうけど。
しかし、考えてみるとコラさん、人間に火あぶりにされたり磔刑にされたりリンチに処されたりして死ぬ思いで無力な子ども時代を二年間、地べた這いずった記憶があるのに、殺意を持って自分を刺してきた人間の子どものために泣く感性がまだ残ってるのヤバくない? 聖人に列せられるぞ。いや、病院爆破するけど。病院爆破するのはな。それは赤十字の精神に反するから反省してほしい。医は仁術とはいえ、感染症でないことを知るすべが医者たちにはなかったのだから、そこはちょっと責められるべきではないかな~……と思う。
通してみるとドッフは過去の迫害とトラウマから逃げられなかったって感じがするんだけど、コラさんはどうなんだろうな。コラさんは迫害されたけど過去は過去! みたいな感じするよな。どんなメンタル強者だよ。ホーミングを兄から救えなかったこと、兄が父を殺すのを止められなかったこと、兄をみすみすトレーボルたちの手にゆだねたことは後悔してるのかもしれない。だからローをあんなにも救いたかったのかも。ドッフのインペルダウン行きはもう決定してたし、そうなれば死んだも同然だし、捕まえること自体はコラさんじゃなくべつの海兵たちがやることが決まってたみたいだから、自分の手でだれかを救いたいというエゴエゴしいなにかがコラさんにもあったのかも。でも受けた愛に理由をつけるなってセンゴクさんも言ってたからよ。
ずっと一緒にいてもたぶんドッフとコラさんは最後には衝突したんだろうな……まだ自我の弱い子ども時代と、コラさんが緘黙を保ったいつわりの”ファミリー”時代がドンキホーテ兄弟の最大限に平和な時間だったんだろうな。互いに大好きでとても大事だったはずなのに。というのがドンキホーテ兄弟の地獄だと思いました。終わり。