表紙で仲良くしていた相手をめくったら食べたり殺してるやつ。クリオネっておいしくないんだね。いやべつに食べる予定ないからいいけども。シライシも流氷の上で逃げてるっていう状況なのにクリオネ吸ってて大丈夫？　というか濡れたのは大丈夫だった？　北樺太まで遠征したおかげで寒さに関して異様な体制ができてしまった？

　師団側。アシㇼパのコタンや唯一の血縁であるフチの処遇についてディスカッション。つるみはわりと部下に自由にしゃべらせるよね。宇佐美は見せしめにするか、しないまでも死亡広告をだして脅しをかけようという意見。菊田は悪事に加担していた網走の看守どもはともかく、何ら罪のない老女を殺すのは反対だという意見。とばっちりで囚人も駆除されてるけど、罪を犯したやつらだからかまわないってか。それもどうかと思うが、菊田はちんちん特務曹長だったのにもうここのところそのことを忘れさせる常識人ぶりを発揮しているよね。いうこと聞かねーまわりの部下とかもと部下に振りまわされまくりだし。
　それと、菊田は有古の家族やコタンに手を出してもほしくないんだろうね。裏切り者の有古はしかたがないにしても。なんなんだろうこの常識人。どうしてこんなひとが鶴見のもとに手土産までもって帰りたがっていたんだ？　そんなことしなければ、有古の裏切りもなかったのに。

　そして鶴見の視線。鯉登（月島も？）を一瞥した視線、菊田を一瞥した視線。おなじものだよね。鯉登は、しばらく先遣隊としてともに行動した杉元とアシㇼパに対して油断をして、結果、胸あたりを刺された。喀血もなく喋れているので致命傷ではなかろうが、情にながされた結果。月島も鯉登を保持して杉元たちの追跡をやめている。この判断はよくわからない。前の回でなにかあれば自分があなたを殺す役だと言った相手だけども。あれはできればそうしたくないからちゃんとふるまってくれと言う警告だったのかな？　そうだとしたら、これもたぶん情だろう。まあ単に、鶴見劇場から駒をこぼさないためかもしれないけれども。
　ただ、鶴見にとって合格なのはどっちなんだろう。どういう判定をしているんだろう。最後まで自分についてくるだろうか、みたいな？　謎だ。

　杉元、アシㇼパ、シライシ、ずきんちゃんパート。シライシはだいぶキロランケに感情移入していて、鶴見の目的にまったく賛同できないみたい。まあ、彼は戦争にも行っていないし、キロランケと仲がよかったし、のっぺらぼうともあまり利害がないしで、そんならシライシにとれば鶴見は簒奪者だよね。しかも月島はあの話でほんとうの目的を仲間に明かすことすらしていないのかもしれないと示唆しているし。
　杉元とアシㇼパ。う～～～～～～～～～～～～～～～～～ん……ちょっといびつに歯車がかみ合い始めた気がする。
　フチとコタンの犠牲をすでに覚悟しているようなアシㇼパ、インカㇻマッがいるとはいえ、谷垣を置いて去ったアシㇼパ。ここにきて、「アシㇼパはウイルクの娘」というのがつよくかぎ取れるようになった気がする。気のせいかな。彼女は目的のために不必要なものをそぎ落としていっている。アイヌの金塊はアイヌのためにつかうつもりのようだけど、なんに使うんだ。キラウㇱのコタンはたしかに金銭を要しているけれども、そういうことじゃないよね。アイヌの存続のためにアシㇼパは金塊を使いたいはず。どうやったらアイヌのために金塊でなにかできるのか？　そのあたりはまったく謎ですな。
　杉元とシライシは、キロランケが身元を調べられることを恐れ、また帝政ロシアへの反抗の一部として、戦争に参加したのではないか、とよみ、杉元は、戦うことよりもけわしい道を選ぼうとしている、はずのアシㇼパを守りたいと願っている。
　対して、アシㇼパは、アシㇼパのために魂を捨ててけもののようになってまで戦う杉元のために、道理さえあるのならば、杉元佐一と地獄へ落ちる、つまりウェンカムイのように、ひとを殺すことを決意している。
　このすれちがい、歯車のかみ合わなさ、どうなんだろう。杉元はアシㇼパに戦わせたくない、ひとを殺したくないなら殺させたくない。アシㇼパは自分のために命を懸けてくれる杉元のために、道理さえあるならひとを殺すことまで決意している。あまりにふたりのつながりがこんがらがり、強く絡み合って、こじれている。そのうえ、まったく相反している。そのせいで、なにか、杉元とアシㇼパだけが、奇妙に浮世離れしてしまっている。
　そもそもアイヌは川を穢す砂金取り、それによって得た金塊を忌んだのではないのか？　それをアイヌのためにつかうことはほんとうにアイヌたちが望むことなんだろうか？

　ずきんちゃんにシュパアアされた兵士を弔うためにひとり行動する月島。まあ死体が一個転がってれば事件だからね……鯉登のそばに付きっ切りというわけでもないようなので、鯉登の傷は軽いか、あるいはもう死んだか。いや、冗談です。生きてるでしょう彼は。
　けど兵士の軍服を羅生門して奪っていった男がいるという。服を着せてやったのはだれだ？　服を取っていったのはヒャクノスケヤマネコ。ちゃんと服を着てるけれどもこれもどっかから盗んだのだろうか。ムイムイ服を脱がすんじゃありません。

　そしてジワジワ近づいてきていたシロクマ、シロクマとヒグマはどうちがうのか？　ずきんちゃんも慌てているようだが、シロクマとの交戦経験はナシか？　どうなるのでしょう、この戦い。来週は休載。そのあいだに気がむいたら19巻の感想でも書くかね～。自分用覚え書き。