まあキラウㇱかわいいとかいうのはもはや基本なのでね。年いくつなのかな? 30~40代くらい? カドクラが50代くらい? 印象なのでとくに考察とかはなしで言ってるけど。妻子はいるんだろうか。けっこうコタンではとりまとめ役というかそこそこ地位がありそうな、若いののまとめ役的ポジションっぽかったね。まあ、18巻ではゆめかわな幼女だったけれども。
いうの忘れたけどもう発売してけっこうたったのでたたまないことにした。
もー話の順とか無視して妄想を語ることにする。関谷と長谷川幸一について。というか、まず長谷川幸一について語ろう。推しだから。
わたしは、長谷川幸一の正体がフィーナにバレていた、というのはないと思う。なにかがおかしい、と気づいたのはたぶん死の直前。フィーナが長谷川幸一の頬を撫でたとき。あれはあきらかに涙をぬぐうしぐさであると思う。けれどそこに涙はなかった。目のまえにいる男は、フィーナの思っていた愛する夫、善き父である長谷川幸一ではなかったから。だから、鶴見の言う長谷川幸一ではないんだという言葉にあなたはだれなのと答えたのだ。
長谷川幸一、というか鶴見は、優秀であるがゆえに全能感を持ちすぎていたのではないかと考える。フィーナがもどってこないようにするために、いくらでも嘘はつけた。でもそうしなかった。聡明なフィーナが、守るべき赤子であるオリガを抱えて、帰ってくるなといった場所へ戻ってくると考えなかった。当然、オリガを優先させるはずだと考えた。鶴見の考えるフィーナはそういう女だったし、じっさいそういう女でもあったのだと思うけど、彼女が長谷川幸一を愛していたことがすべてを狂わせた。つまり、フィーナが長谷川幸一を見誤っていたように、長谷川幸一、鶴見もフィーナを見誤っていた。
これはおそらく鶴見にとってのはじめての大きな挫折であり、瑕疵である。死なせるつもりのなかった、自分を信頼していた女と、守るべきだった娘を死なせた。ほとんど鶴見が殺したと言っていい。
関谷は、なにも選ぶことができず、ただ運命のまま、哀しい事故としてみずからの娘を失った。その意味を彼は神に求めた。どうしてですか、なぜですかと問いと罪をかさねながら、みずからに裁きがくだり、神の実在が、娘の死の意味が証明される日を待っていた。最終的に、彼にとっては、それが実現している。
鶴見はちがう。フィーナとオリガを選んだのは鶴見であり、その理由を求めるなら鶴見にしかたどり着かない。あのとき、おおまかとはいえすべてを俯瞰して全体像を把握できていたのは鶴見だけで、鶴見だけが最大数の人間を駒を動かすことができた。だから、鶴見はだれにもなぜこうなったのかと嘆くことはできない。関谷にとっての神は、鶴見にとっては自分自身だからだ。
おそらくここが、死神としての鶴見のはじまりなのだと思う。たぶん鶴見は、フィーナの人生そのものを変えてしまうことをためらったのではないか。もしくはその必要はない、ただの通過者でいればいいと思ったのではないか。そうすることをおそれたのではないか、と思う。
しかし、自分を愛した女と赤ん坊を死なせたことで、鶴見はそれがおのれの傲慢さだと思い知った。だからこそ、死神になり、誘惑者になった。そうなった鶴見はもう、命をかけて愛した女のいる男の愛をもてあそぶように利用することをためらわないし、十四歳の幼い少年にわずかな甘い毒を仕込むことをいとわない。兄弟、親子の情さえ利用する。
ただ、気になるのは、ここまできてもやっぱりまだ鶴見が愛を理解していないようなふしが見受けられること。鯉登の態度はあきらかに恋だが、「なぜ緊張するのか」、理解できない。稲妻に、刺青を渡せば女房は生かしてやるなどと取引を持ち掛けるし、稲妻の死を見届けたお銀に不用心に近づいてみせる。鯉登平二が息子の音之進を助けに行くことを想定していない。愛がかれらになにをさせるか、理解していない。フィーナが赤ん坊を連れてでも夫を心配して禁じられた家への帰還を果たしてしまうことを予測しない。
鶴見が理解できるのはひろくおだやかな愛で、人心を狂わすような愛は守備範囲外なのかもしれない。
フィーナとオリガの死に付随するさまざまな事象は鶴見に大きく影響している。細かく言うと、組み立てるだけで撃つことはユルバルスに譲っていた機関銃を、稲妻お銀や網走監獄では楽し気にぶっぱなしていること。これはあたえる死をできうるかぎり他人まかせにはしないということなのでは、と思う。少なくとも長谷川幸一は武器を持たなかったし、だれも殺さなかった。自分の手では。
死体に敬意をはらう、というのは稲妻お銀のときにもしていたことだけれども、指やケープを持ち去ったのは、このとりかえすことのできない失敗をわすれないためではないか。また、クリスチャンであるだろうフィーナとオリガを、土葬でとむらうのではなく、家とともに燃やしたのは、彼女たちを殺したのが自分であることをきざみつけるためではないか。
あと、長谷川幸一が死にゆくフィーナに自分の名前を告げたのは、彼女が信じたような誠実な夫でも父親でもなかったことに対して、鶴見が示せる唯一の真実であり誠意だったからなのかな、と思った。自分は身分をいつわった間諜であり、いままでの生活はそのための偽りであり、夫のふりをした男を助けようとしたがために、娘のオリガをフィーナは犠牲にしてしまったのだ、という残酷な事実を告げることでしか、死神になった鶴見には、フィーナを見送ることができなかったのかなとね。おもったんだよ。
妄想とは関係ないちいさいことだけれども、フィーナは日本に行ったことがあるんだろうか? 物乞いでも日本語を話す、と知っているから。