単行本未収録ネタだからたたむよ。
スゲエ勝手な妄想で根拠はないんだけど、わたしは、オリガは長谷川(というか鶴見)の娘ではないんじゃないかなあと思っているんだよね。以下根拠を述べます。
理由として、まずたぶん長谷川は偽名を名乗っている以上、はじめからスパイとしてあの地にあったと考えられるので、ふつうにフィーナと恋に落ちて結婚した、というシナリオは考えにくい。
つぎに、鶴見は嘘をつくとき、かならず自分に利益をもたらしつつも、利用された相手にも利益を分け与える嘘をつくから。月島しかり、鯉登しかり。
なので、フィーナになんらかの「どうしても結婚しなければならない事由」があり、長谷川はそれを利用したのではないかと推測する。で、この時代、ロシアにおいてどうしても結婚しなくてはならない事由というのは妊娠じゃないかなと考える。
ロシア正教がどうかはよく調べてないのでわからんのだけれども、キリスト教というのは父親に認められない子ども(庶子)、未婚の母、というのをものすごくきらう。どんな理由であってもふしだらな女とレッテルが張られる。国などによっては、そういった未婚の母を罰するための施設があり、生まれた子どもは母親の了承なく養子に出されるということもあったそう。
で、もしフィーナが何らかの理由で(犯罪に巻き込まれた、結婚を約束した相手に逃げられたなど)未婚の母になってしまい、二進も三進もいかなくなっていたところへ、長谷川がやってきて、「じつはずっときみが好きだった。おなかの子どもごと愛すると誓う。結婚してくれないか」と言ってくれたら、言葉は悪いけれども渡りに船なわけで。
長谷川はいずれ消える男だけれど、それでも、フィーナがいちどは結婚し、オリガは長谷川という父に子と認められた嫡出子ということになれば、おそらく再婚はのぞめるし、なんなら長谷川は死んだということにして「なんの瑕疵もなく、不幸にも夫をうしなった子持ちの寡婦」となってもいい。フィーナの感情はおいておくとして、これは利益といえる。
長谷川には当然、ロシア人と婚姻して、子もいるということで、絶好の隠れ蓑を得るわけで、こちらにも利益がある。
そして、オリガが長谷川の実子でなかったとしても、「親は子どもを選べない」というのは変わらない。だってフィーナと長谷川の都合で結婚して、オリガにはなにひとつ選べることはなかったんだから。
あと、長谷川は、月島があの子を愛するようにはフィーナを愛していなかったのではないかと思う。というか、もしかすると、だれかひとりをとくべつに愛するということがわかっていなかったのでは? わが子を危険にさらしてまで、夫の安否を心配するフィーナの愛情を理解していなかった。鯉登がどうして自分にだけ早口の薩摩弁になるのかわからない。稲妻お銀のときも、お銀の稲妻への愛をみくびって余裕を見せて、あやうく殺されるところだった。
つまるところ、長谷川にとって、フィーナもオリガも、自分の無力のために死んでしまったというくくりで、死んでいった戦友たちとおそらくそう変わりはないのではないか。いってしまえば長谷川は、というか鶴見は、「(限定的ではあるが)博愛者」で、だれかをとくべつに愛することのない人間なんじゃないかなあ、というのがいまの認識。
まあこれだとカップリング成り立たねえな!!!!!